朝崎郁恵withゴンチチ
奄美シマウタの古謡を歌い継ぐ朝崎郁恵さんが、今回はゴンチチと来沖。
昨年リリースされたセカンドアルバム『うたあしぃび』にも競演している両者だが、出会いはもっと前に遡る。
97年にリリースされ、その後ロングセラーとなった自主製作盤『海美』の歌声を耳にしたゴンチチ、細野晴臣、UA、などが衝撃を受け、それ以来、リスペクトされ続けているという。
今回のライブでは、まずは若き実力派唄者・中 孝介くんの美しい裏声によるアカペラではじまった。それは八月踊りで最初にうたわれる唄だった。当初2曲の予定がなりゆきで4曲披露となり、4曲目が終わる間際に、遠くから朝崎さんのチジン(奄美太鼓)が絡まりながらの幕開けとなった。
かつて、奄美シマウタといえば、奄美出身者がそれを聴きにきていたものだが、ステージ前列から20〜30代の女性が多いことに気がつく、そう、朝崎郁恵さんのファン層は幅広い。
まだ奄美シマウタを聴いたことがない人にとっては、奄美三線で演奏を耳にするとどうしてもどの曲も同じに聴こえてしまう。
“奄美のシマウタを世界中の人々に伝えたい”という朝崎郁恵さんは、三線のほかにもピアノなどの洋楽器を用いて表現する先駆者となり、聴く人々の心に響きわたっているようだ。
そのどこか懐かしい唄のメロディーや声に涙するものが多く、“初めて聴きに来たのに、思わず涙がこぼれてきてしまった”という人たちが絶えない。
ある雑誌に永六輔さんが、「琉球音階はドレミファソラシドで割り切れない“純正音階”なんですよ。そこに新鮮な懐かしさを感じて皆が戻っていき、芸能や文化はそうやって伝わり、回ってゆくものなんです。」というインタビュー記事が、大きなヒントとなって印象に残っている。
奄美の音階は正確には琉球音階ではないが“純正音階”と奄美三線の師匠からもお話を伺ったことがある。
そのメロディーに、ゴンチチ曰く「朝崎さんの“心の奥底から響く歌声”」が織り重なってゆくものだから、毛穴がすべて開いてしまうほどの“新鮮な懐かしさ”に心打たれるのだろう。
シークレットゲストにも驚いた。つい先ほどまで、NHKに生出演していた古謝美佐子さんが駆けつけ、奄美六調(奄美のカチャーシー)で一緒に舞ったのだった。
心に響くコンサートでこの年を締めくくれるなんて……。
追伸;
今回、コンサートに行けなかった人にも朗報。
1月6日(木)のNHK BS放送にて、
朝崎郁恵withゴンチチのセッションを観ることができます。
そのほか、元祖ネーネーズのおふたりの
比屋根幸乃さんと宮里奈美子さんもゲスト参加。
奄美のシマウタと、沖縄民謡が繋がってゆくそうです。
[放送予定時間]
デジタルハイビジョン:午後3時15分〜4時
BS2:午後6時〜6時45分
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